Game*Sparkレビュー:『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』は復帰傭兵でも楽しめる? “死にゲー”好きから見たら? 期待の最新作を一味違う視点でチェック 2ページ目 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』は復帰傭兵でも楽しめる? “死にゲー”好きから見たら? 期待の最新作を一味違う視点でチェック

『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』に関心を持つのは、ずっと現役だったシリーズファンだけではありません。本作で復帰を考えている休止者や、他のフロム作品がきっかけで興味を覚えた方もいるはず。そんな方々に向けた視点で、本作のレビューをお届けします。

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■『AC6』に見る“死にゲー”の側面と、充実したシステム

本記事のもうひとつの視点、“死にゲー”として見た場合の『AC6』についてもお伝えします。ですがまず最初に、“死にゲー”について軽くおさらいしましょう。

昨今では、同社の作品が高く評価された背景もあり、“死にゲー”=ソウルライク作品として使われる場面も少なくありません。ですが“死にゲー”という言葉自体は、ソウルライクの原点とも言える『Demon's Souls』以前から使われており、本来はもっと広い範囲を示す言葉です。

簡単にまとめるため少し乱暴な物言いになりますが、何度も死ぬことで攻略を身体で学び、その経験で乗り越えていくタイプの作品について、“死にゲー”という言葉がよく使われてきました。もちろん、広義に使われる“死にゲー”の範疇に、ソウルライク作品も当てはまります。そのため“死にゲー”とソウルライク作品の関係は、イコールではなく内包するものと言えます。

広義的な意味で、ソウルライク作品と『AC6』は、どちらも“死にゲー”の範囲に入ります。手ごわい敵との初戦で「これ、勝てるのか?」と絶望し、案の定負けてしまい、再戦してもまた敗北。しかし何度も挑み続けると、次第に与えるダメージが増えていき、「もしかして、倒せるんじゃ……?」と思った瞬間に油断してまた敗戦。そんな辛酸を舐めつつも、死闘の果てに撃破する。そうした手ごたえは、この『AC6』でも存分に味わえました。

ですが、ソウルライク作品の“死にゲー”と『AC6』における“死にゲー”の要素が似ているのかと言えば、ゲーム的には大きく異なっています。

どちらも難敵にトライ&エラーを繰り返す点は同じですが、ソウルライク系の多くはRPGの側面も強く、レベルを上げればステータスが向上し、少しずつですが確実に強くなります。そのため行き詰まるほどの強敵と出くわしたら、一度戻って経験値を稼ぎ、より強くなって再戦することも可能です。

一方で『AC6』は、人型兵器を駆るアクションゲーム。パーツや武装、OSなどを組み替える強化はできるものの、その時点で手に入るものが全て。パーツの買値と売値が同額なので、ショップにあるものも全て構成候補と言えますが、ミッションで隠しパーツを集め、トレーニングも終わらせ、挑戦可能なアリーナをクリアしたら、あとは手持ちのリソースでやりくりするのみです。

行き詰った際、そこまでに手に入るアイテムや要素でやりくりするのは両者とも同じですが、ソウルライク系は作品によって「寄り道」ができます。場合によっては、有用な武器や魔法が手に入り、状況の打開に役立ちます。直近作の『ELDEN RING』は特にこの傾向が強く、特定のボスに阻まれても、冒険や探索先はほかにも多数あるので、そうした未知の土地で戦力を向上させることが可能です。

それでもアイテムを取りつくせば、その範囲でのやりくりになるのは両者ともに同じ。ですが決定的に違うのは、ビルド制限の幅にあります。『AC6』はジェネレーターから得られる出力の範囲内でパーツを組まなければなりません。また、装備可能な重量の制限もあるので、組み合わせ自体は無数ながら、決められた制限の中でどういった構成にするのかが重要です。

ソウルライク系の多くも、装備条件がステータスに左右されることが多く、その意味では制限の範囲内でやりくりするビルドと言えます。しかし、レべルアップでステータス自体を伸ばせるので、ビルド制限の“天井”を任意の育成で押し上げることが可能なのです。

ビルドの限界をレベルアップで広げられるソウルライク系と、決められた範囲内のビルドとプレイヤーの技量で立ち向かうしかない『AC6』。やりくりの幅を自分で変えられるか否かは、攻略する上で大きな違いとなります。ソウルライク作品がきっかけで『AC6』に興味を持った方は、経験値による育成要素がない点にご注意ください。

ただし、“死にゲー”全般に共通するトライ&エラーについて、『AC6』はかなり遊びやすく配慮されています。強敵と戦う前にはチェックポイントが置かれており、負けてもその直前から再プレイが可能です。また、武器の弾数やAP(いわゆるHP)が回復できる場合もあり、かなり至れり尽くせりです。

加えて、チェックポイントから再開するときも武器の弾数やAPは最大値まで戻ります。やられてからリトライのロード時間も、体感ですが4~5秒ほど。再戦を焦らされることもないので、一連の流れは苦になりません。

何度挑んでも勝てない時は、再戦時のメニュー画面で自機の構成を見直すことも大事です。遠距離戦で歯が立たない時は、ショットガン&ブレードの近距離重視に切り替えたり、タンク型にして火力&AP上乗せで挑んだりと、切り口を変えてみるのがお勧め。これを再戦直前に行えるのも、嬉しいポイントのひとつです。

両作品は同じ“死にゲー”でも、その方向性はまったく違います。ソウルライク系に慣れている人や、“死にゲー”自体に慣れていない方は、アセンブルを活用して立ち向かう『AC6』のガチぶりに戸惑うかもしれません。

『AC6』の“死にゲー”な部分は、敵の手ごわさと、そのとき手元にあるもので対処しなければならない点にあります。しかし逆を言えば、どれほど強い難敵でも、入手できる範囲の要素で乗り越えられる作りになっています。この点はむしろ、難易度の高い2DアクションやSTGのボスに挑む時の状況に似ているかもしれません。

昨今の“死にゲー”に慣れていなくても、かつての懐かしいゲームから続いてきた「死んで覚える」の精神さえ忘れなければ、幅広いユーザー……とまでは言いませんが、少なくないゲームファンが『AC6』を十分満喫できると思います。

なんといってもフロム・ソフトウェアは、様々なゲームで「手ごわいけど、気づけば倒せた」を長年培ってきたメーカー。絶望感と乗り越える達成感の提供は、本作でもお手のものです。


本記事では、休止していたユーザーの復帰者視点と、“死にゲー”として見た場合の手応えについて、プレイを通した実感をお届けしました。

簡単にまとめるなら、復帰者の物理的なブランクを別にすれば、シリーズに共通する魅力は今回も受け継がれており、没入感は想像以上。敵の強さもお馴染みの通りですが、アセンブルと発想、そしてトライ&エラーで乗り越えられ、そのサイクルもシステム的な負荷が極力省かれているので、シリーズ復帰者のみならず“死にゲー”に慣れていない新規ユーザーにもお勧めできる完成度の高い作品に仕上がっています。

もちろん、ジャンルや難易度を踏まえると、万人向けとは言えません。どれほど手を尽くしても一定水準以上の腕前は求められますし、死に覚えが苦痛だとチュートリアルの「大型ヘリ」で躓く可能性もあります。また、自分が好むスタイルで勝ちにくい場合、スタイルの変更は苦渋の決断と言えるでしょう。

率直な気持ちでいえば、本編のボスはともかく、チュートリアルの大型ヘリはもう少し乗り越えやすくてもよかったのかなと思います。とはいえ、安易に弱くすると達成感も味わえなくなるので、痛し痒しな部分です。

全体的なプレイ感は良好で、強敵との戦いも倒した時の達成感と表裏一体。難易度が高めながらもバランスはほどよく、絶望と希望を絶妙に両立させる舵取りに酔いしれるばかり。

最大の難点を挙げるなら、『AC6』の要素や切り口が、あなたと合うか合わないか。突き詰めていくと、その一点に集約する作品です。シリーズファンにも復帰者にも、そして完全新規の方にも、全く平等に立ちはだかる『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』。今も変わらず本作に興味があれば、あと必要なのは覚悟だけです。

総合評価:9/10

良い点

・あの頃夢見た“ロボゲー”の実際に味わえる心地よさ
・傭兵気分にとことん浸らせてくれる没入感
・初見で絶望するものの、対処法がしっかり用意されているボス戦
・アセンブル次第で一変するACの多様性
・1ミッションはそれほど長くないので、短時間でも楽しめる

悪い点

・難敵に対処する導線は弱い。基本的には、自分で打開策を見つけるスタイル
・システム周りは丁寧だが、難易度調整などの直接的なフォローはなし
・上記に2点は全面的な難点ではないが、そこも含め、新規ユーザーへの配慮は少なめ

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