Xbox版Meta Questが発売? Meta Horizon OS がApple Vision Pro並みになる隠し球とは【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Xbox版Meta Questが発売? Meta Horizon OS がApple Vision Pro並みになる隠し球とは【特集】

Metaが「Meta Horizon OS」を発表しました。Meta Quest用の専用OSをサードパーティに提供するに当たってリブランドしました。既にASUSとレノボが対応ハードウェアを開発中だといいいます。

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現在のMeta Quest ストアは質は担保されているが、PCやスマホアプリののストアのような意外性や楽しい怪しさなどは皆無だ。
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  • Xbox版Quest 3のイメージ写真
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Meta Horizon OS」が発表されました。VR/MRヘッドセット「Meta Quest」の専用OSをリブランドし、ハード仕様込みでサードパーティに提供します。既にASUSとレノボが対応ハードウェアを開発中です。


さらにXboxのコントローラーとGame Passを同梱したMeta Questも発売されそうです。アプリストアもリブランドし、今後は開発者にとって更に公開しやすい仕組みになるとしています。

スマホアプリをMeta Horizon OSに移植するための新しいフレームワークも開発中で、これによってApple Vision Proの強力なライバルになる可能性も出てきました。

◆Meta Horizon OSの正体

今回のニュースは「Meta Questのハード・ソフトの仕様がASUSやレノボなどサードパーティに供給される」と要約されています。Meta Questは、AndroidをベースにMetaがVRやMRの機能を拡張した独自OSを使用しています。このOSには今まで明確なブランド名がなく「Meta Quest ソフトウェア」などと呼ばれてきましたが、それが「Meta Horizon OS」に変わるわけです。

今後、Meta Quest互換ヘッドセットには「Built with Meta Horizon OS」のロゴが添付されるようだ(Meta社ブログより)

ちなみに最新版は2024年4月8日にリリースされたv64(ビルド64)で、1か月から2か月に1回程度の頻度で新バージョンが提供され、その度にさまざまな機能が向上しています。ここ最近の大きなトピックスは、AIによる擬似フルトラッキングのサポート、MRカラーパススルー画像の劇的な画質アップ、そして寝転がってQuest 2やQuest 3を使えるようになったことなどがあります。

Androidベースなので、Androidスマホ用のアプリを手動でサイドロードして動かすこともできます。すべて動くわけではありませんが、筆者はKindleやdマガジンのアプリをインストールして動作させられました。Apple Vision ProはiPhoneやiPad用のアプリを空間コンピューティングでそのまま使えるのがウリでしたが、Meta Quest系でも以前から近いことはできていたのです。

◆アプリストアはMeta Questプラットフォームの弱点だった

ただ、Apple Vision Proには公式のApp Storeがある一方で、Meta QuestはGoogle Playをストアとして利用できません。これはMetaの依頼をGoogleが断ったからだと海外で報道されています。2Dアプリを自由にインストールできないのは、Meta Questシリーズの弱点でした。

しかも、Metaの公式VR/MRアプリストアである「Meta Quest ストア」も取扱い本数は多くありません。これはMetaの審査が厳格で、なかなか公開が許されなかったためです。代わりに 「App Lab」という公式ストア内の別配信システムが用意されています。こちらは公式ストアよりも公開基準が緩く、小規模デベロッパはまずApp Labで公開し、そこで人気と信頼を得てから公式ストアに格上げとなる仕組みです。

現在のMeta Quest ストアは質は担保されているが、PCやスマホアプリのストアにあるような「意外性」や「楽しい怪しさ」などは皆無だ

App Labも配信システムとしては公式なものなのですが、App Labのアプリはストア内検索では見つけることができず「外部からのリンクでしか知ることができない」という差別化が行われていました。これは公式ストアの質を保つための仕組みですが、インディーなど小規模デベロッパーがチャンスを掴みにくくなり、評判はよくありませんでした。

「Meta Horizon OS」がサードパーティのASUSやレノボにも提供される中で、Metaはソフトウェアのラインナップを拡充する必要に迫られたのか、App Labの仕組みを段階的に公式ストアに統合していくことを表明しました。ストア名も「Meta Horizon ストア」にリブランドされ、開発者はアプリを公開しやすくなります。

◆Meta Horizon OSはApple Vison Proに勝てる!?

Metaブログには「モバイル開発者の複合現実体験の開発をサポートする、新しい空間アプリのフレームワークも開発しています」ともあります。Androidのアプリをインストール可能だと述べましたが、動くからと言って使いやすいわけではありません。Meta QuestのUIに完全にフィットしていないこともあるし、現状では2Dアプリは最大3つを横方向に並べて置くことしかできないのです。理想は、Apple Vision Proのように空間のあちこちにアプリを配置しておけることです。

実は2023年9月の「Connect 2023」のイベントでMeta Quest 3を発表した際に「オーグメント(Augments)」というApple Vision Proの空間コンピューティング的に配置できるウィジェットのデモビデオが公開されており、2024年にリリースすると伝えられていました。今回言及された新しい空間アプリのフレームワークは、オーグメントの機能を含んだフレームワークである可能性があります。

空中に浮かんだInstagramリールのオーグメント。Apple Vision Proの空間コンピューティングとほぼ同じ体験ができそうに見える
オーグメントで壁にお気に入りの写真や動画を貼っておくこともできる。これもApple Vison Proっぽい。動画の続きでは3DオブジェクトやオーグメントがUIとして動作しているものも
Meta Connect 2023 Keynoteの公式ビデオ。9分52秒あたりからオーグメントによる空間コンピューティングのデモ映像が流れる

レノボとASUSが、Meta Horizon OSに参加したのは、Meta Questの豊富なアプリと完成度をあげてきたMRシステムに加えて、Android 2Dアプリ+オーグメントによって、Apple Vision Proに対抗できるプラットフォームになり得ると考えたからかもしれません。

◆Xbox版Meta Questはどうなる?

ゲームユーザーにとって注目すべきは、ASUSがゲームブランドの「ASUS ROG(Republic of Gamers)」として参加することでしょう。ROGからはゲーミングPCやゲーミングスマホが多数ラインナップされており、魅力的なハードウェア仕様のものもあります。そのラインナップの中にMeta Quest互換機が入るとしたら胸アツです。

MetaにとってもVRゲーム市場は主戦場であり、そこに強力なライバルを自ら呼び込むのはかなり大胆なことで、逆に言えばMeta QuestのVRゲーム市場を大幅に拡大する目標がないとできないことです。

そして気になるのが、CEO・ザッカーバーグ氏がInstagramの動画で述べていた「XboxコントローラーとGame Passを同梱したバージョン」です。Metaブログでも「Xboxにヒントを得た限定版のMeta Quest」と言及されています。この「限定版のMeta Quest」は、199ドル(日本では3万1,900円)に値下げして米国ではZ世代に飛ぶように売れていると言われているMeta Quest 2なのか、それとも今年発売が噂される“Meta Quest 3 Lite”なのか、気になるところです。

流通もMetaブランドで販売されるのか、Xboxブランドから出るのか。マイクロソフトのハード製品は昔から評判が良いものが多いので、単なるOEM以上の製品が将来登場することも期待したいです。

Meta Horizon OSのリリースを発表するマーク・ザッカーバーグCEOのインスタグラム投稿。終盤でXbox ControllersとGamePassを同梱したハードの話がある。

Meta Quest 3 Liteは、深度センサーを省略しながらカラーパススルーのMRが維持されるとも言われていますが、Xbox Cloud Gamingが目的ならカラーMRは不要でしょう。Meta Quest 2ベースにして、うんと安く、できれば薄く軽くなったモノでもいいなと思います。

Meta Quest 2の累計出荷台数は1,800万台に達するとされ、コンシューマ向けVRヘッドセット市場では王者の風格を漂わせているMetaですが、2023年のスマホ出荷台数の11.7億台(IDC調べ)と比べると、まだ微々たる数字です。

今回のMeta Horizon OSの取り組みが成功すれば、各社から発売されたMeta Quest互換のVR/MRヘッドセットやARグラスが億台単位で売れて、VRゲームやメタバースがもっと当たり前になった時代がやってくると期待したいです。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《根岸智幸》

編集者、ライター、ソフトウェアエンジニア、メディアビジネス企画開発 根岸智幸

ITと出版とオタクの何でも屋。グルメや女性誌や芸能やBLマンガもやりました。キャンギャルやコンパニオンの写真も撮ったりします。
・インターネットアスキー編集長(1997-1999)
・アスキーPC Explorer編集長(2002-2004)
・東京グルメ/ライブドアグルメ企画開発運営(2000-2008)
・本が好き!企画開発運営(2008-2013)
・BWインディーズ企画運営(2015-2017)
・Webメディア運営&グロース(2017-)
著書
・Twitter使いこなし術(2010)
・facebook使いこなし術(2011)
・ほんの1秒もムダなく片づく情報整理術の教科書(2015)
など

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